「喫茶ともしび」は神奈川県立歴史博物館1階の回廊にあるレトロな雰囲気の喫茶店です。博物館内にありますが、有料の展示室に入らずとも喫茶のみの利用も可能です。県央福祉会が運営する同店のスタッフさんは、知的障がいや発達障がいなどの障がいのある方が中心。アットホームなお店です。
今回は「喫茶ともしび」で「ゴロゴロ肉のビーフカレー」と「味自慢クリームあんみつ」をいただいたので、レポートしていきます。
「喫茶ともしび」歴史と文化で彩られた店内
喫茶「ともしび」のある同館は、みなとみらい線馬車道駅より徒歩約1分。3番出口のすぐ左のところにあります。
国の重要文化財に指定されているこちらの建物は、旧横浜正金銀行の本店として1904年(明治37年)に建てられたネオ・バロック様式。
旧館部分の外観は建築当初の姿をそのまま残し、神奈川県立博物館として、新館を増築して1967年(昭和42年)に開館しました。1969年(昭和44年)に国の重要文化財の指定を受け、1995年(平成7年)には新たに人文系部門を母体として神奈川県立歴史博物館として再整備されました。
外壁に石材を使用したレンガ造りという威厳のある建物に入り、歴史を感じながら回廊の右側へと旧館部分に入っていくと右手に喫茶ともしびがありました。
店内は木目を基調としたモダンな内装。縦に長い昔ながらの窓やカーテンには風情を感じさせます。壁には複製された浮世絵が飾られており、机の上には歴史博物館のポスターが挟み込まれています。
席数は26。同店はもともと横浜正金銀行時代の執務室だった場所で、博物館となってからはバックヤードの応接室として使用されていたそうです。歴史と文化に彩られた店内でくつろぎつつ、メニューを選びます。
障がいをものともせず、元気に働くスタッフの皆さん
今回は、店舗管理担当で県央福祉会の松浦日夏乃さんにお話を伺いました。
喫茶ともしびは、神奈川県立歴史博物館として再整備された1995年(平成7年)にオープン。当時は神奈川県手をつなぐ親の会(現・神奈川県手をつなぐ育成会)が運営していましたが、2014年(平成26年)からは県央福祉会が引き継ぎ、現在に至っています。
店名は1976年(昭和51年)に始まった、障害の有無や老若男女、国籍にかかわらずお互いに理解・人権を尊重しあう神奈川県の県民運動「ともしび運動」から取ったもの。県が主体となった福祉事業の多くは“ともしび”という文言を使用しています。
同店は障がい者の自立と社会参加の実現を目指す場としても機能しています。職員がサポートしつつ、常時5人ほどの障がいを持った方がシフト制で協力しながらお仕事をしています。松浦さんは「ムードメーカーばかりで、時にはにぎやかです」とニッコリ。スタッフの皆さんが一生懸命にお客さんへの対応を行っている姿を見ると、こちらも元気をもらえます。
「喫茶ともしび」のラインナップ
基本メニューは軽食、ドリンク、デザート。博物館の特別展のテーマや季節に合わせることもあるので、そのときどきで変更があります。
伺ったときはカレーの種類が非常に多い印象がありました。ほかにもナポリタンやハヤシライス、ハンバーグ、ミネストローネなどが並びます。
デザートにはアイス、あんみつ、アップルパイなどをそろえ、ドリンクはコーヒー、紅茶、ソフトドリンク、ビールなどを用意していました。
今回は同店人気メニューの「ゴロゴロ肉のビーフカレー」と「味自慢クリームあんみつ」をいただきました。
ほろほろと肉が口の中で溶けていく「ゴロゴロ肉のビーフカレー」
同店でも人気の高い一品。カレーの具は牛肉やじゃがいも、ニンジンなどが入っており、家庭的な味わいです。比較的に多めに入っている角切り肉の一切れは、スプーン一さじを覆うほどの大きさ。
口の中に放り込むと、肉がホロホロとほどけていき、徐々に舌の上で溶けていきました。柔らかいだけでなく、歯ごたえもしっかりと残っています。具材とのバランスも絶妙です。
サラダとドリンクも付いています。
かんてんたっぷりの「味自慢クリームあんみつ」
スタッフさんに緑茶と塩昆布、そしてメインのクリームあんみつをお盆にのせて運んでもらいました。手作りかんてんの上に刺さっている楊枝の旗に描かれているのは、同館の屋上のドーム部分と同館のキャラクターであり営業部長でもあるパンチの守です。
中身は、さっぱりとしたかんてんがたっぷり入ってあんこは粒あん。刻まれたあんずはさまざまな甘みの中にちょっとしたアクセントを加えています。さらに、溶けていくクリームアイスがあんみつを包み込んでいきます。
途中で塩昆布を挟んで一休み。一度、塩味を入れることでクリームあんみつの甘みを再確認します。最後に緑茶を口に含んで、口の中をさっぱりと。おいしかったです。ごちそうさまでした。
「喫茶ともしび」の店舗情報
同店では、障がいのある方の就労を応援する県央福祉会「エヌ・クラップ」で製造されているレトルトカレーも販売。神奈川県の歴史に関わる資料なども展示しています。
障がい者の方々が元気に働く姿を横目に、落ち着いた雰囲気で歴史を感じることのできるお店でした。もし、馬車道周辺に伺う機会がありましたら、お店に寄ってみてはいかがでしょうか。