元町の代官坂にある定食屋「食堂ノチノチ」は、1873年創業の老舗の花屋「宮崎生花店」の中にある食堂です。日替わりメニューで季節の食材による体に優しいおうちごはんを提供しており、おにぎりを中心とした水曜日の「水曜おにぎりデー」も人気です。
今回は、「食堂ノチノチ」に水曜日に伺い、おにぎり「梅おかか」と「辛子明太子」、おかず3種盛り「鶏のからあげ」「ちぢみほうれん草のごま和え」「根菜とひじきの炒め煮」をいただいてきたので、レポートしていきます。
「食堂ノチノチ」明治以来の老舗生花店の中で定食をいただく
みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩約2分。JR石川町駅から徒歩約12分。元町通りから山手本通りに向かう代官坂の右手に「宮崎生花店」があります。
「宮崎生花店」は横浜開港後まもなくの創業。当時は、山手に多く住んでいた外国人を相手に商売をしていたそうです。大きなガラス窓のショーウインドウは映画『コクリコ坂から』のシーンにも使われています。
たくさんの植物に囲まれながら中に入ると、右手は「宮崎生花店」。左手が「食堂ノチノチ」のスペースとなっています。
カウンター2席、2人用と4人用のテーブル席がひとつずつの計8席というこぢんまりとしたつくり。植物に囲まれたスペースとなっているので、外でご飯を食べているような気分になりますね。
ところどころに配置されている絵画やかわいらしい小物雑貨にも癒やされます。
元町に和食家庭料理のランチを
今回は、店主の田村香織さんにお話を伺いました。
田村さんは2020年10月、ハンドメイド雑貨とアクセサリーの店「ニチニチ」を元町・代官坂にオープン。「そのときに、店内に飾るお花とかを『宮﨑生花店』にお願いしていて、よくしていただいていたんです。『宮﨑生花店』では、『HAHA CAFＥ』を併設して運営されていたんですが、コロナで閉店してしまって、この空間が使われなくなったんですね。そのときにお店のご夫婦が『使ってくれる人がいたらいいな』と仰っていたんです」と村田さん。続けて、「そのころから、元町周辺の美味しいお店の『オバンザイnight』というイベントがこのスペースで始まったんです。それを見ていて、私が飲食をやっていくイメージが固まって、2024年6月にこの場所で間借りして食堂を始めることとなりました」と同店のオープンの経緯を語ってくれました。
元町周辺はイタリアンやフレンチ、パン屋さんなどが多いものの、和食を中心とした定食を提供するお店があまり多くありません。田村さんはその点に目を付けたそう。
ただ田村さんはアルバイト経験があっても、飲食店での修業経験はありませんでした。「私自身雑貨屋さんをやっていて、お昼ご飯に困ることが多かったんですね。元々、私は料理をするのは好きだったので、イタリアンやフレンチを作れませんが、家庭料理なら作れる。食堂ならおにぎりとお味噌汁を運んであげたら喜ばれるでしょうし、ふらっと1時間休憩というときに近所で定食が食べられたら利用してくれる方が多いんじゃないかなと思いまして。それで、カフェというよりは食堂ということにしようとなりました」と田村さん。
代官坂という土地柄もあって、近隣でお店を経営されている方が立ち寄ったり、元町での買い物や保育園のお迎え帰りの途中で、夕ご飯用にプラス一品のお惣菜をテイクアウトするお客さんも多いようです。
店名の由来は雑貨店「ニチニチ」の後に始めた店だから「ノチノチ」。
田村さんは「このスペースが後々、いろいろな方に使ってもらえるようにという意味も込めています。お花屋さんの中にあるので、種が“ノチ”にお花になるという明るい未来のイメージから名付けました」と明かし、「毎日食べても飽きないような家庭料理を作っているのでお気軽に来てほしいというのが一つと、代官坂自体が面白い店が最近増えて、来ていただけるだけでも楽しめると思います。ぜひ、お越しください」とアピールしていました。
「食堂ノチノチ」のラインナップ
メニューは日替わり定食のみです。ご飯とみそ汁。そして、お肉や魚料理の主菜1品に季節の野菜を使った副菜が5種類用意されており、その中から2種を選びます。
水曜日は「おにぎりデー」。5種のおにぎりから2種を選び、おかず３種盛りとみそ汁も付いてきます。
メニューはお客さんのご希望に合わせたり、食材の調達次第で料理を考えることもあるそうです。田村さんは「できるだけ、添加物や化学調味料は味付けでは使わないようにして、お出汁を取ったりしながら、基本の調味料を使うだけの味付けにはしています。
おうちのご飯と同じように、毎日食べられるようなものにして、季節のお野菜をできる限りたくさん取り入れるようにしています」と話します。
今回は「おにぎりデー」だったので、おにぎり「梅おかか」と「辛子明太子」、おかず3種盛り「鶏のからあげ」「ちぢみほうれん草のごま和え」「根菜とひじきの炒め煮」をいただきました。
おにぎり「梅おかか」と「辛子明太子」
おにぎりは一番人気の「梅おかか」と田村さんおすすめの「辛子めんたいこ」をいただきました。具は一番上だけでなく、ふんわりとしたご飯の中身にもしっかりと入っています。「梅おかか」はほんのり甘くてさっぱりとしながらもおかかの旨みが凝縮されています。「辛子めんたいこ」は思ったよりも塩味が少なくて上品な味わいでした。
やわらかくてジューシーな「鶏のからあげ」
サラダもついた「鶏のからあげ」はサクッとしながらも、かみ砕いていくと中身はやわらかくてジューシー。肉汁たっぷりの王道のからあげでした。家庭料理と侮るなかれ。シンプルな味付けだからこそ、鶏の旨みを引き出しているのです。
これぞ家庭料理「ちぢみほうれん草のごま和え」と「根菜とひじきの炒め煮」、そして「みそ汁」
「ちぢみほうれん草のごま和え」はやわらかくて優しい味わい。
「根菜とひじきの炒め煮」では、ごぼうを細かくささがきにしています。
「みそ汁」の具はわかめと大根でした。素朴で懐かしい味わいの器で家庭料理を堪能いたしました。
「食堂ノチノチ」の店舗情報
水曜日以外の日替わり定食も彩り鮮やかです。おしゃれなイタリアンやフレンチなどが多い元町では、和食ランチは貴重なお店だと思います。
石川町、元町周辺に伺う機会が合ったときにはお店に寄ってみてはいかがでしょうか。
